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現行日本国憲法制定の経緯と改憲案に対する意見

今後憲法改正の議論が始まるが、その際に現行日本国憲法がどういう経緯で制定されたのかをニュース解説を聞くだけでなく、自分で読んで自分で判断することが必要になる。ただ単にGHQ から一方的に押し付けられたものではなく、SWNCC (米国連邦政府委員会)が基本的人権、国民主権を重視した内容を決定し、この内容は日本人自身が決定するものとした。この指示をGHQが検討し、更に吉田茂と日本議会が詳細に検討したもので、その後も日本の憲法学者が検討を重ねたことにより戦後永く日本を戦争から守ってきた。

I.現行憲法制定の経緯

「日本国憲法 国会図書館」で検索して過去の実際の記録を読むことが勧められる(携帯で見られます)。専門家による邦文翻訳が付いているものも多数あるので、流れは良く把握できる。特に資料と解説の3.「GHQ草案と日本政府の対応」の中の3.−2 SWNCCによる「日本の統治制度の改革」のテキスト(邦文テキスト翻訳は下記をご参照)が重要。www.ndl.go.jp/constitution/shiryo
/04/002_32shoshi.html


この内容によると米国連邦政府委員会よりGHQに対し基本的人権の保障、国民主権が憲法制定にあたり不可欠の項目であたり日本人自身が決定するものとした。これを見ても米国が日本の将来を良く考えていたことが分かる。

SWNCC(国務・陸軍・海軍三省調整委員会:第二次大戦終結後の枢軸国の占領などに関する政治的・軍事的諸問題の処理を目的としたアメリカ合衆国連邦政府委員会)の「日本の統治体制の改革」の結論。

a) 最高司令官は、日本政府当局に対し、日本の統治体制が次のような一般的な目的を達成するように改革さるべきことについて、注意を喚起しなければならない。
1. 選挙権を広い範囲で認め、選挙民に対し責任を負う政府を樹立すること
2. 政府の行政府の権威は、選挙民に由来するものとし、行政府は、選挙民または国民を完全に代表する立法府に対し責任を負うものとすること
3. 立法府は、選挙民を完全に代表するものであり、予算のどの項目についても、これを減額し、増額し、もしくは削除し、または新項目を提案する権限を、完全な形で有するものであること
4. 予算は、立法府の明示的な同意がなければ成立しないものとすること
5. 日本臣民および日本の統治権の及ぶ範囲内にある
すべての人に対し、基本的人権を保障すること
6. 都道府県の職員は、できる限り多数を、民選するかまたはその地方庁で任命するものとすること
7. 日本国民が、その自由意思を表明しうる方法で、憲法改正または憲法を起草し、採択すること。(現行憲法を制定する際には国民の意思に従うとの意味で米国の基本的考え方である
国民主権を指示したことになる)(天皇制に関する考え方がb,c,に記載されているが省略)

II.改憲賛成議員が挙げた改憲項目で最も多かったのは緊急事態条項の創設

29.10.26読売によれば、改憲賛成議員が挙げた改憲項目で最も多かったのは緊急事態条項の創設で69%(自衛のための軍隊保持は49%、教育の無償化47%)とあるので、緊急事態条項に関する意見を下記する。

(日弁連)日本国憲法に緊急事態条項を創設することに反対する意見書2017/2/17 日本弁護士連合会:当連合会は、同草案を含め、日本国憲法を改正し、戦争、内乱等、大規模自然災害に対処するため同草案が定めるような対処措置を内容とする緊急事態事項を創設することに反対する。 https://www.nichibenren.or.jp/
library/ja/opinion/report/data/2017
/opinion_170217_03.pdf


(NEW YORK TIMES)、 安倍総理の政党は、憲法改正の提案原稿に、一般大衆の利益に危険と思われた場合には言論の自由と新聞社の自由の権利を制限し、非常事態には総理の権限を拡大することを提案している、、

問題点:日弁連の意見書の3ページに記載されているが如く、過去にナチスがこの緊急事態条項を悪用し政敵に対して逮捕、テロ行為を繰り返しナチス独裁に導いた問題の多い条項。既に日本は報道の自由度ランキングが2010年に11位であったものが2017年には72位まで下がっている。これ以上は許されない。一般人の中には報酬を受けながら自分が何をしているか分からず言論弾圧に参加している場合が非常に多い。


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